ビジネスシーンでは、メールの末尾に差出人が誰であるかを示す「署名」を付けるのがマナーとされています。就職活動をしている学生が企業宛に送るメールにも、署名を付けるようにしましょう。この記事では、学生へ向けて就活用メールの署名の書き方や作成時の注意点について解説します。
メールの署名とは?
メールの末尾に記載する差出人の情報を「署名」と呼びます。具体的には、「氏名」「所属する企業や学校名」「連絡先」などを記載する形が一般的です。
メールに署名を記載することで、メールの作成者・送信者の情報を明らかにし、信頼性や信用度を高める役割があります。いわば名刺と同様の役割を果たすといえるでしょう。また、受信者も署名を確認することで誰から送られてきたメールなのかが判断でき、スムーズに返信できる利点もあります。
学生の就活用メールでも署名が必要な理由
一般的に友人や知人とのメールのやりとりで署名を付けることはないでしょう。しかしビジネスシーンにおいては、メールの署名が重要視されています。学生の就活用メールにおいても同様で、メールの署名は社会人として身に付けておくべきマナーの一つです。ここでは、就活用メールで署名が必要な理由について詳しく解説します。
ビジネスマナーの一つとして定着している
ビジネスシーンでは信頼性や信憑性の観点から、メールに署名を付けることが基本です。メールの送信者が何者かが分からないと、受信者は不安や不審に思うことがあるためです。
また、メールの署名に連絡先を含めることで、受信者が簡単に返信したり、問い合わせたりすることが可能となる点も署名を付ける理由の一つです。就職活動を行う際には、ビジネスマナーが身に付いていることをアピールするためにもメールに署名を付けましょう。
メールが埋もれることを防ぐ
採用担当者は多くの応募者とメールでやりとりをします。そのため、自分が送ったメールを採用担当者が見落としてしまう可能性も否めません。しかし、メールに署名を付けることで採用担当者は応募者の身元を確認し、必要に応じて返信や連絡を取ることが可能となります。
学生がメールに署名を付けることは、大勢の応募者対応に追われる採用担当者の負担軽減にもつながります。
連絡先が明確になる
就職活動では、応募者の情報や連絡先が重要となります。適切な署名を付けることで、採用担当者は応募者の氏名、メールアドレス、電話番号などの連絡先を確認することが可能です。そして連絡が必要な場合に迅速にコミュニケーションが取れるようになります。
特に就職活動では自己紹介や職務経歴書の添付、面接の予約など、重要な情報を伝える機会が多くあります。署名を付けることで、迷惑メールとして誤認されるリスクも減らせるでしょう。
学生が就活用メールの署名に記載する内容
学生にとってメールの署名はなじみがないものでしょう。そのため、どのように署名を記載したらよいのか悩む学生も多いのではないでしょうか。メールを送信する際には適切な署名を付けないと、自分の印象を悪くしてしまう恐れもあるため注意が必要です。ここでは、就活用メールの署名に記載する内容を紹介します。
罫線
メールの署名に必ず罫線を入れなければいけないわけではありませんが、罫線を入れることで本文と署名を区別できるため、視覚的に分かりやすいメールの作成が可能です。
罫線を入れる場合は、適切な幅やデザインを選ぶことが重要です。細すぎたり、派手な色や装飾が入っていたりすると見栄えが悪くなってしまう可能性があるため注意しましょう。シンプルで見やすいものを選ぶ意識が大切です。
氏名と読み方
メールの署名の冒頭には、以下のように氏名と読み方を記載します。
・山田 太郎(やまだ たろう)
・山田 太郎(Taro Yamada)
氏名の読み方は、平仮名やカタカナ、アルファベットなど基本的にはどれを用いても構いません。
学校や学部・専攻
就活メールで署名を付ける際は、自分の所属大学や学部・専攻を記載する形が一般的です。自分の情報を明確にするとともに、これまで大学で学んできた分野をアピールする意図もあります。「〇〇大学〇〇学部○○学科○○学専攻 4年」といったように、分かりやすくシンプルに記載しましょう。
連絡先メールアドレス
就職活動では面接や選考の連絡などで企業からのメールを受信する機会が多いため、迅速かつ確実に連絡が取れるよう、自分のメールアドレスを署名に記載します。
また、就活専用のメールアドレスを作成することをおすすめします。個人用のメールアドレスを使うと、個人的なメールや迷惑メールなどで企業からのメールを見逃してしまう恐れがあります。就活専用のメールアドレスを作成すれば、アカウント管理や応募先企業ごとの分類がしやすくなり、スムーズな就職活動ができるでしょう。
電話番号
就職活動では企業側から電話で連絡が来る可能性があります。また、面接の日程調整や不明点の確認など、迅速に電話でやりとりをしなければいけない場面が生じることもあるでしょう。そのため、自分の電話番号を署名に明記しておき、企業側がすぐに電話をかけられるようにしておくことが大切です。
また、企業の営業時間内に連絡が取れる電話番号を記述することも大切です。電話に出られなかったときのために、留守番電話の設定もしておくとよいでしょう。
就活メール用の署名を作るときの注意点
就活メールの署名は、受け取る採用担当者のことを考慮して作成することが大切です。情報が混雑していたり見にくかったりすれば、メールに付けた署名の効果を発揮できません。就活メール用の署名を作る際は、ここで紹介する3つの注意点を押さえておきましょう。
不要な情報を記述しない
就活メールの署名は、シンプルかつ明瞭な内容にすることが大切です。所属ゼミや研究室の情報、自宅の住所など不要な情報を記述する必要はありません。個人情報を記載するとプライバシーやセキュリティ上の問題も生じてしまいます。不要な情報を省くことで、署名がスッキリとし、相手に伝えたい情報が明確になります。
見やすいように体裁を整える
就活メールの署名は、個人情報を企業側へ伝えるツールです。見やすく整った体裁を心がけることで、相手に好印象を与えられるでしょう。
また、企業側が署名に記載された情報に基づいて応募者を管理する場合もあるため、採用担当者の負担を軽減するためにも体裁を整えることが大事です。具体的には、以下のような点に注意しましょう。
・文字の大きさやフォント、色などを統一する
・改行やインデント、罫線を使って見やすくする
・不要な情報や余白を省く
簡易版の署名を用意する
就職活動で同じ企業の採用担当者とメールでやりとりをする場合には、簡易版の署名をテンプレートとして作成しておくと使い回しができて便利です。簡易版の署名には、氏名やメールアドレス、電話番号を記載するとよいでしょう。そこに所属学校・学部・学年を加えても問題はありません。
複数の相手に送っても問題ないように、適切なフォーマットやインデントを使い、見やすいレイアウトを心がけることが大切です。
【テンプレートあり】就活メール用の署名の一例
就活メール用の署名はテンプレートを用いると便利です。以下、種類の異なるテンプレートを二つ紹介します。
【テンプレート1】
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山田 太郎(やまだ たろう)
東京大学 経済学部 3年
taro_yamada@example.com
090-1234-5678
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【テンプレート2】
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氏名:山田 太郎/Taro Yamada
学校名:東京大学 経済学部 3年
メールアドレス:taro_yamada@example.com
電話番号:090-1234-5678
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上記のテンプレートは氏名・学校名・連絡先といったシンプルな情報のみ記載し、罫線の種類や空白行の有無によって見栄えを変えています。好みに合わせて選び、利用してみてください。
就活で送るメールの基本的な書き方
就活メールは、以下のような構成で作成する形が基本です。
・あいさつ(自己紹介)
・本文(用件)
・締めのあいさつ
・署名
あいさつは、初めてメールを送る際には「お世話になります」と書き、2回目以降は「お世話になっております」と記載します。そして簡単な自己紹介として、氏名と学校名・学部・学年を記載しましょう。
本文に入る際には、あいさつと本文の間に改行を入れることが大切です。本文は伝えたい要件を簡潔に記載しましょう。企業の採用担当者は多数の応募者とやりとりをしており、時間に余裕がない場合があります。長文や回りくどい文章は、伝えたいことが伝わらないだけでなく、不快な印象を与えてしまう恐れがあるため注意が必要です。
締めのあいさつは、メールを読んでくれたことや対応してくれたことに対し、感謝の気持ちを伝えながら丁寧に記述します。
メールの署名を忘れないようにするコツ
就活メールでは署名を付けることが大切ですが、メールの本文に気を取られてうっかり付け忘れてしまうケースは珍しくありません。またメールの署名を付ける癖があっても、何回もやりとりをしていると忘れてしまう場合もあるでしょう。ここでは、メールの署名を忘れないようにするコツを二つ紹介します。
自動で署名を付けるようにメーラーで設定する
一般的なメールソフトやWebメールサービスでは、自動で署名を付けるように設定できます。署名を自動で記述する設定にすることで、署名を付け忘れて送信することを防止できます。
例えば、Gmailでは「設定」メニューから「全般」タブに移動し、「署名」の項目で署名を作成し、「デフォルトの署名」から作成した署名を選択すれば自動で署名が付けられます。設定方法はメーラーによって異なるため、マニュアルなどで確認してみてください。
スマホにも署名を設定する
就職活動の場ではスマートフォンでメールを送受信する機会もあるでしょう。その際にも署名を付け忘れないように、自動で署名を付ける設定をしておくことをおすすめします。スマートフォンのメールにも自動で署名を付ける設定をすれば、手動で署名を入力する手間が省け、出先で時間がないときでも安心してメールを送信できます。
まとめ
メールの末尾に差出人の情報を署名として記載することは、ビジネスシーンでは重要なマナーの一つです。学生が就職活動で送るメールにも署名を付ける必要があるため、忘れないように気を付けましょう。
メールの署名に記載するのは「氏名」「学校名・学部・学年」「電話番号・メールアドレス」です。本文と署名が区別しやすいように、罫線を用いると効果的です。メールの署名を付け忘れてしまいそうな場合は、自動で署名を付ける設定をしておくとよいでしょう。