アルバイトを採用するにあたって、どのようにすればうまく選考を進められるのか、悩んでいる担当者の方もいるのではないでしょうか。気になった人材を採用するかしないかで迷わないようにするには、事前に採用基準を定めておくことが欠かせません。 そのようなときに役立つのが、面接チェックシートです。アルバイトを採用するのに最適な面接チェックシートの作り方について、本記事で詳しく解説します。ポイントを押さえて作成した面接チェックシートを活用すれば、採用活動がスムーズに進むでしょう。
アルバイト採用チェックシートに含めたい7項目
応募者を適切に評価するために、必要だと思われる項目は過不足なく面接チェックシートに盛り込みましょう。ここでは、アルバイト採用で使用する面接チェックシートに記載したい、代表的な内容を7つ解説します。
・履歴書にミスがないか
・服装が整っているか
・時間どおりに到着したか
・目を見て会話できるか
・笑顔で対応できているか
・質問に対して適切な回答ができるか
・最低限の敬語は使えるか
それぞれのチェックポイントをどのように評価すればよいかも紹介します。
1.履歴書にミスがないか
提出された履歴書や職務経歴書などの応募書類にミスがないか、虚偽記載がないかを確認します。意図的な虚偽が見られるなど、明らかに問題がある場合は採用候補から外しても構わないでしょう。記載してほしい事項に空欄が多い場合も、「基本的な体裁が整っていない」と考えて差し支えありません。
また、履歴書は書類作成や事務スキル、PCスキルといった基本能力を判断できる素材でもあるため、募集職種によってはそれらもチェックするとよいでしょう。
2.服装が整っているか
最低限のビジネスマナーとして、面接時の服装が整っているかもチェックします。特に、飲食店や小売店、ホテルといった接客が業務に含まれる職種では、より厳しい目で評価してもよいでしょう。
「仕事をする上で問題はないか」「お客様を不快にさせないか」など、募集職種によって評価基準を設けてみてください。
3.時間どおりに到着したか
ビジネスにおいて、時間を守ることは基本的です。そのため、面接会場に遅れずに到着したかも評価項目に入れるとよいでしょう。
一般的には早すぎる到着もルール違反とされているため、10〜15分前など、常識的な時間に到着したかを確認します。
とはいえ、何らかの理由で遅刻してくる場合もあるでしょう。大切なのは、その理由です。「交通機関のトラブル」「自然災害」といった不可抗力は、もちろん問題ありません。
4.目を見て会話できるか
面接が始まったら、受け答えの様子を観察します。まずは、きちんと相手の目を見て会話しているかをチェックするとよいでしょう。併せて、面接開始時のあいさつの有無をはじめとする、基本的なコミュニケーションスキルを確認します。
接客が含まれる業務では、重点的にチェックしておくことをおすすめします。基本的なコミュニケーションスキルに問題があると、就業中にさまざまなトラブルを引き起こす恐れがあります。
5.笑顔で対応できているか
会話するときの表情や態度も、応募者の様子を知る重要な手掛かりです。「笑顔で会話できるか」「不機嫌そうな態度を表していないか」といった点を観察しましょう。
ただし、応募者にとって面接は「緊張の場」であるため、多少、表情が硬くなるのは仕方ないでしょう。そういった点は考慮し、厳しく減点しすぎないようにすることも大切です。
6.質問に対して適切な回答ができるか
投げかけた質問に対し、適切に答えてくれるかは重要なポイントです。質問に答えているようで答えていない回答が続くときは、コミュニケーションスキルに難がある恐れがあります。もちろん、質問の仕方に問題がないかを確認した上で評価することが大切です。
履歴書の記載内容に基づいて質問した際に、回答にずれがないかも確認しておきましょう。場合によっては、履歴書の虚偽記載が判明することもあるためです。
なお、あえて応用的な質問をすると、応募者が返答につまってしまうかもしれません。そのような場合でも、努力して伝えようとする姿勢が見られるのであれば、必要なコミュニケーションスキルを備えていると評価してもよいでしょう。
7.最低限の敬語は使えるか
言葉遣いは人としての基本的なマナーです。受け答えするときに基本的な敬語を使えるか、相手に失礼がないように答えられるかは、重要なポイントといえます。ビジネスに適した言葉遣いができなければ、顧客対応だけではなく、社内のメンバーとの意思疎通にも支障が出るかもしれません
採用後にトラブルを招かないためにも、面接という場で基本的な敬語を使えない応募者は、大きな減点対象としてチェックしておくとよいでしょう。
アルバイト採用チェックシートの作り方
アルバイトを採用するときの面接チェックシートは、より効果を高めるためにも3つのポイントを押さえて作成することをおすすめします。
くれぐれも、「良い人材を採用する」という目的を達成するためのツールであることを意識しましょう。作成すること自体が目的になってしまっては、面接チェックシートが意味をなしません。
欲しい人物像を明確にする
採用活動を始める前に、欲しい人物像を社内全体で明確にしましょう。採用担当者だけで決めるのは、採用後のミスマッチにつながるためおすすめしません。
経営層をはじめ、現場の責任者、上司や同僚となるスタッフにもヒアリングし、どのような人材を求めているかを調査することが大切です。この過程で、採用したい人物像のみならず、採用してはいけない人物像も明らかになることがあり、以降の工程がスムーズになります。
評価項目を検討・設定する
採用したい人物像に合わせて、評価項目を設定するのが次の段階です。ある程度のスキルが求められる職種であれば、「基本的なスキルを有しているか」を重要な評価項目にしましょう。接客業などで人柄やマナーを重視する場合は、コミュニケーションスキルや対応力を評価する指標を策定します。
業種によってどのような人材を求めるかが異なるため、評価項目を決めるときは事前に策定した「欲しい人物像」を常に意識しましょう。ここがずれていると、高い確率でミスマッチが発生します。
評価項目の比重を考える
面接チェックシートに盛り込む評価項目が出そろったら、項目ごとの比重を考えます。応募者のスキルを重視するのか、人柄を重視するのかによって、同じ評価項目でもスコアリングする際の配分が異なるのが通常です。
総合得点で合格ラインを超えた応募者は採用ですが、想定したよりも人数が多い場合は、履歴書や面接チェックシートに立ち返ってみてください。もう一度社内で話し合い、よりシビアな目で採点しなおしてもよいでしょう。
応募受付から採用面接までをスムーズに行うには
アルバイトを採用するときの具体的な業務には、求人広告の出稿や応募者への連絡、書類選考、面接の日時調整、採用判断などの多種多様なタスクが含まれます。これらをスムーズに進めるには、業務をサポートする管理ツールが欠かせません。
例えば、ExcelやGoogle スプレッドシート、採用管理システムの導入などが考えられます。どのツールを導入するのが正解かは、採用活動の規模や採用担当者の管理スキルによりますが、大規模な採用活動では採用管理システムが役立つでしょう。さまざまな業務を自動で設定でき、ヒューマンエラーも低減できるのが強みです。
アルバイト採用面接の流れ
面接をスピーディーに進めるためにも、基本的な進め方は採用担当者の全員がマスターしておくことが大切です。ここでは、面接の基本的な流れと盛り込みたい内容の一例を紹介します。下記を参考とし、必要に応じてカスタマイズしてみてください。
自己紹介
面接が始まったら、面接担当者と応募者が互いに自己紹介する場を設けます。最初に面接担当者が所属や役職を示し、面接に来てくれたことのお礼を述べてから応募者にバトンタッチします。
応募者は自己紹介を自己PRを兼ねて話しはじめるケースも多いため、どのようなアピールをしてくれるのか、注目して聞きましょう。自己紹介を通してプレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルを把握できるため、最初の段階ながら重要な項目です。
アイスブレイクを挟む
一般的に、面接に臨む応募者は緊張しています。緊張していると本来の能力を発揮できず、応募者の本当の能力をチェックできません。そのため、適度に雑談を交わして緊張をほぐしてあげましょう。
アイスブレイクの内容は、すぐに返答できる簡単なものであれば、何でも構いません。会場までの交通手段や当日の天気、履歴書に記載の趣味の情報などがよく使われます。
採用面接シートに記載している質問
応募者がリラックスし、会話しやすい雰囲気を醸成できたら、本題に入ります。ここで活用するのが、事前に作成した面接チェックシートです。シートに記載されている内容を網羅できるように質問し、応募者のスキルや人柄、ポテンシャルなどをチェックしましょう。
面接中に気になったポイントは面接シートに書き込んでおくか、別途メモを残しておくと後から振り返れます。
応募者への情報提供
チェックシートに基づいた質疑応答が完了したら、応募者に必要な情報を伝えましょう。採用条件や勤務時間、報酬体系、昇給の仕組み、福利厚生などの働く上で重要なポイントをもれなく伝えます。
ここで必要な情報の伝えもれがあると、採用見送りや採用後の早期退職につながるリスクが増します。特に求人情報に記載されていないルールがある場合は、確実に伝えましょう。
質疑応答
面接の後半には、質疑応答の時間を設けます。面接では限られた時間で必要な情報を伝えつつ選考しなければならない都合上、情報伝達が不十分になりがちです。質疑応答の時間を設けることで、応募者の疑問をピックアップでき、伝達もれを防げます。
応募者の疑問や不安に適切な回答をすれば、入社意欲を高められるきっかけにもなるでしょう。質疑応答では「こちらも面接されている」という意識を持つこともおすすめします。
質疑応答後は、選考結果を連絡する時期と連絡方法を伝えてください。履歴書の返送はしないなど、個人情報の扱いに関わることもきちんと伝えることが大切です。
アルバイト採用チェックシートの運用ポイント
面接チェックシートを作成すること自体はさほど難しくないでしょう。しかし、採用目的に合致したものができあがるかは別問題です。
そこでこの項目では、面接チェックシートを作成・運用するときに覚えておきたい4つのポイントを紹介します。すでに面接チェックシートがある場合で、思うような成果を出せていない場合は、ぜひ参考にしてみてください。
評価項目の数を増やしすぎない
さまざまな観点から応募者を評価したいからといって、項目を増やしすぎるのは逆効果です。面接でヒアリングする点が増える上、本当に知りたい情報が埋もれてしまう恐れがあります。
面接チェックシートに盛り込む内容は、「本当に知りたいこと」に限定しましょう。そのためには、スキルや人柄など、業種・職種に応じて重視しなければならない点を明確にしておく必要があります。
評価項目をチェックしやすい順に整える
評価項目とチェックリストに盛り込む内容が出そろったら、面接のフローに沿った順番に整えます。採用担当者が上から順番にチェックできる形に整えることは、記録をスムーズにしてミスを防ぐのに有用です。
入室時のマナーやあいさつの有無など、最初の段階で評価できるものはシートの最上部にまとめます。面接担当者が気付いたことを記録できるよう、メモ欄を用意しておくとより使いやすくなるでしょう。
評価項目に含まれない要素にも配慮する
ビジネスは人と人の関わり合いであるため、全ての項目をスコアリングして評価するのは非現実的です。職場や採用担当者との相性や応募者の性格、興味、関心はスコアリングできない要素の代表例といえるでしょう。
そのため、面接チェックシートに記載されている項目を考慮しつつも、「一緒に働きたいと思えるか」「この採用が自社の利益向上につながるか」という視点を忘れないことが大切です。スコアリングできる要素とできない要素を総合的に判断し、最終的な採用・不採用を決定しましょう。
ATS上のシステムでペーパーレス化による管理をする
採用をはじめとした人事に関わる情報を紙や表計算ツールなどで管理していると、雑務が増えて業務が煩雑化しがちです。継続的に人材を採用しなければならない場合や、大規模な採用活動を展開する場合は、ATS(採用管理システム)を導入するのがおすすめです。
ATSを導入すれば、求人広告の出稿や応募者の管理、面接時間の調整といったさまざまな業務を自動化できます。必要に応じて帳票を出力できる製品もあるなど、多くのシーンで採用業務をサポートしてくれるでしょう。
ヒューマンエラーを減らし、業務を効率化したい方は、ATSを積極的に活用してはいかがでしょうか。
まとめ
アルバイトを採用するときに役立つのが、採用・面接チェックシートです。チェックシートに評価項目をまとめ、運用体制を整えることで優秀な人材を獲得しやすくなるだけではなく、業務を効率化できるでしょう。採用業務全体を管理する目的で、ATS(採用管理システム)を導入するのも非常におすすめです。