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介護離職の現状は?離職予防に役立つ公的施策と有効な対処法を紹介

車椅子に乗った老婆と会話している女性

家族の介護が必要になったことで仕事を続けられなくなり、離職することを「介護離職」と呼びます。介護離職によって優秀な人材を失って困っている方もいるのではないでしょうか。 そこでこの記事では、介護離職の現状と有効な対策を紹介します。介護離職の現状を理解した上で適切な対策を講じれば、優秀な人材の退職を防げるでしょう。

介護離職の現状は?

介護離職とは、家族や親族の介護をするために退職することを指します。厚生労働省が発表している「雇用動向調査」によると、2021年に離職した方は717万2,500人にのぼります。そのうち、「介護・看護」を理由に掲げた方の割合は1.3%、つまり約9万3,000人の方が介護離職を余儀なくされているのが現状です。

 

さらに細かく調査結果を見ていくと、男性・女性ともに40代以降の介護離職者数が増えており、45歳~49歳で辞めた方の割合は男性で1.5%、女性で4.7%にのぼりました(介護・看護による離職者数を100%としたときの割合)。

 

45歳〜49歳といえば、管理職として企業の中核を担う働き盛りの世代です。企業にとって優秀な人材を失わないためにも、社員が可能な限り介護離職しなくても済む環境を整えることが大切といえるでしょう。

 

介護離職でよくある理由

社員が介護をきっかけに退職する理由はさまざまです。厚生労働省の「労働者調査 結果の概要(令和2年3月)」によると、介護離職が多い理由は以下の通りです。

 

・仕事と介護の両立が難しい職場だったため:約60%

・介護する家族・親族が自分しかいなかったため:約18%

・介護によって自分の心身の健康状態が悪化したため:約18%

 

介護離職者のうち、約60%の方が「職場環境の未整備」を理由として挙げていることが分かります。つまり、仕事と介護を両立できる職場環境が整っていれば、介護離職者を大きく減らせる可能性があることを示唆しているといえるでしょう。

 

介護離職で優秀な人材を失いたくないと考えているのであれば、仕事と介護を両立できる職場環境の整備に着手することをおすすめします。

 

介護離職を防ぐための公的施策

利用者から話を聞いている介護担当者

介護向けの公的施策を活用して仕事と介護を両立できる環境を構築しよう

育児・介護休業法などの関連法令に基づき、日本政府は介護離職を防ぐためにさまざまな公的施策を実施しています。ここでは主な公的施策として、「介護休暇」「短時間勤務」「時間外労働・深夜業務の制限」の3つを見ていきましょう。

 

上記の公的施策を活用することで、介護が必要になったときに離職せずに済むようになる可能性があります。

 

介護休暇の取得

介護や通院補助、介護サービスの手続きなどを行う際には「介護休暇」の取得が可能です。介護休暇は年5日(介護をする家族が2人以上の場合は年10日)取得でき、時間単位で細かく取得できる点が特徴です

 

「通院補助のために午前中だけ休む」「役所で介護サービスの利用手続きをするために3時間休む」など、状況に応じて活用するとよいでしょう。

 

短時間勤務の活用

介護休業制度に基づき、事業者は3年以上の期間内に2回以上、介護をする労働者に対して「短時間勤務制度」や「フレックスタイム制度」「時差出勤制度」などの措置を講じなければなりません。

 

自社のビジネススタイルを考慮し、どの制度を導入するのがよいか考えることをおすすめします。短時間勤務制度を導入・拡充することで、介護離職を必要としない職場を構築できるでしょう。

 

時間外労働や深夜業務の制限

家族や親族を介護しなければならない社員には、介護が終了するまで以下の労働時間の制限措置が適用されます。

 

・所定外労働の制限: 残業の制限

・時間外労働の制限: 1か月に24時間、1年に150時間を超える時間外労働の制限

・深夜業の制限: 22時〜翌日5時までの間の労働を制限

 

家族を介護する社員の長時間労働を抑制することで、離職を防ぐ効果が期待できます。仕事と介護を両立できる職場環境を作る上で、長時間労働を防ぐ仕組みの構築は必須といえるでしょう。

 

介護離職を防ぐために企業ができる対策

リモートワークで仕事しているビジネスパーソン

介護離職を防ぐには、介護休業制度の拡充やリモートワークの導入などの対策が欠かせない

介護離職で優秀な人材を失わないようにするには、公的施策に頼るだけではなく企業側で適切な対策を講じることも必要です。ここからは、企業側でできる対策の具体例を詳しくチェックしていきましょう。

 

介護離職が発生して困っているのであれば、家族を介護している社員が働きやすい環境を整えることが大切です。

 

自社の状況に合致した介護休業制度を構築する

介護休業制度の仕組みや関連する法令に基づき、自社の状況に応じて必要な制度の構築は欠かせません。特に介護者の短時間勤務についてどのような制度を導入するかは企業側の判断に委ねられているため、フレックスタイム制度や時差出勤制度など、どういった制度が最適なのかを考える必要があるでしょう。

 

また、介護に関する制度を構築したら社員への周知も重要です。社員が制度を有効活用できるように配慮しましょう。

 

リモートワーク環境を構築する

リモートワーク環境の整備は、介護離職を予防する上で大きな効果を発揮します。社員が家族の介護をしなければならなくなった際にリモートワークできる環境が整っていれば、自宅で介護をする合間に働き続けられるため、介護離職を防げるでしょう。優秀な人材を逃したくないのであれば、リモートワーク体制の拡充を図ることをおすすめします。

 

相談窓口を設置する

介護に関していつでも相談できる体制を整えることも大切です。社内に相談窓口を設置して介護関連の問題を抱えている社員が利用できる自社の制度や公的制度を紹介するとよいでしょう。

 

また、連日連夜に及ぶ介護で社員が心身ともに不調を抱えるリスクがあるため、外部の産業医と連携するなどメンタルケアに関する体制を整えておくと、さらに効果的です。

 

従業員にとって介護離職の致命的な問題点

食事の介助をしている介護スタッフ

一度介護離職をすると再就職が難しく、心身だけでなく経済面における負担が増大するデメリットもある

企業側にとって、介護離職は貴重な人材を失うことにつながります。一方、社員側にとっても介護離職はキャリア形成において大きなデメリットとなりかねません。

 

ここからは、社員側の観点から介護離職をする際に生じる3つの問題点を紹介します。介護離職は企業側・社員側双方にとって致命的な問題になりかねないため、早めの対策を講じることが大切です。

 

再就職が難しい

介護離職をする年齢層は40代から50代が多く、介護が一段落したとしても再就職するのは難しい傾向にあります。介護期間が長引くほどキャリアに空白期間が生じてしまうのも、介護離職後の再就職が困難な理由の一つです。

 

また、仮に再就職できた場合でも、以前よりも収入が減少するのは覚悟しなければならないでしょう。介護離職は社員側にとって大きなデメリットがあるのです。

 

精神面・肉体面・経済面の負担が大きく増加する

介護負担を軽減するために離職を選択する社員もいますが、仕事を辞めたとしても「負担が増した」と感じる方が多いのが特徴です。実際、厚生労働省の「労働者調査 結果の概要(令和2年3月)」によると、介護離職後に精神面・肉体面・経済面で負担が増したと感じる方は多く、負担が減ったと感じる方は少ないという結果が出ています。

 

介護にまつわるさまざまな負担を軽減するためには、仕事と介護を両立できる環境の整備が欠かせません。

 

社会から孤立するリスクが高まる

介護に専念するために離職すると、在職中よりも社会とのつながりが少なくなります。それにより孤立感を強め、介護うつなどの病気を発症してしまう方も少なくありません。介護者と被介護者の距離が近くなりすぎることも、社会から孤立する原因の一つです。介護離職には、介護者が精神面で問題を抱えてしまうリスクも横たわっているのです。

 

介護離職の前に従業員が検討できること

介護施設の送迎車両に乗り込む要介護者と介護スタッフ

介護離職を選択する前に、介護施設やデイサービスの利用を検討することが大切

介護離職による後悔を防ぐためにも、仕事を辞める前に介護施設や公的な介護サービスを利用できないか検討することをおすすめします。ここでは、介護と仕事を両立するために利用できる各種介護サービスについて解説します。併せて、現在勤めている企業で介護制度が整備されているかどうかを確認しましょう。

 

介護施設を利用する

要介護者を対象にした介護施設には、自治体などが運営している公的な特別養護老人ホームや民間の企業が経営している介護付き有料老人ホームなどがあります。介護施設を活用すれば介護負担を大幅に軽減できるため、要介護度や保有資産に応じて利用できる施設がないか検討してみるとよいでしょう。

 

原則として特別養護老人ホームは年齢が65歳以上、要介護3以上の方が対象です。ただし介護付き有料老人ホームは施設によって入居条件が異なるため、個別に確認することをおすすめします。各自治体のWebサイトでも介護施設を案内しているため、一度確認してみるとよいでしょう。

 

デイサービスを併用する

自宅から介護施設に通って必要な介護を日帰りで受けられるサービスが、「デイサービス(通所介護)」です。要介護1〜要介護5に認定された方が利用でき、比較的リーズナブルな価格で介護を受けられるのが特徴といえるでしょう。原則として要支援1〜要支援2の方は利用できません。

 

デイサービスを利用すれば短時間とはいえ介護者の負担を軽減できるため、仕事と介護を両立しやすくなるでしょう。仕事中で介護できないときはデイサービスを利用するなどの運用方法があります。まずは近くにあるデイサービスを探し、通えそうなところがないか探してみましょう。

 

訪問介護を利用する

訪問介護は、訪問介護者が要介護者の自宅へ行き、食事や入浴などの介護を行うサービスです。要介護者が要介護1以上の認定を受けていれば、利用可能です。費用はサービス内容や利用時間によって異なりますが、介護保険が適用されて原則1割負担(所得によっては2〜3割負担)で済む点もメリットといえるでしょう。

 

要介護者が施設へ入りたくないと考えている場合には利用を検討してはいかがでしょうか。仕事で介護ができない時間帯に訪問介護を利用すれば、介護離職を防げる可能性があるでしょう。

 

まとめ

笑顔で介護する1人の女性

介護と仕事を両立できる環境を整えて離職を可能な限り防ごう

 

介護離職は企業にとって優秀な人材を失う原因になりかねません。介護離職を防ぐには、公的な施策を活用するとともに、社内でも仕事と介護を両立できる労働環境を整えることが大切といえるでしょう。

 

短時間勤務制度の導入・拡充やリモートワーク環境の整備など、自社の状況に応じて適切な施策を考えることをおすすめします。介護離職を防ぐための取り組みを進めることで、優秀な人材をつなぎ止められるでしょう。

 

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